Heritage circus

ヘリテージサーカス。好きなモノと、出会う。

ニューバランスM998 GYを買ったので履き心地やデザインと特徴や評価を徹底解説

New Balance M998

ニューバランスの定番モデルにはデザインや機能的な違いによって、たくさんの種類がある。どの型番もある程度の認知度はあるが、やはりそこには人気の違いというものが存在する。
今回紹介するM998は一般的な人気や知名度は決して高くないが、一部のニューバランスファンやファッション関係者からは非常にコアな人気を誇っている。
ニューバランスの中でも人気の高い99Xシリーズにあって、いぶし銀的な存在。

SUPER TEAM33がスペシャルエディションを作り、NB1(ニューバランスのカスタムシューズサービス)の三足のうちの一足にも選出されたということは、New Balanceの中でもM998に思い入れが深い?と勝手な想像をしています。

実際に私自身ニューバランスのスニーカーの中でも好きな一足で最近M998 GY(グレー)を買い足しました。以前持っていたM998はボロボロになりお別れを迎えたのですが、セール価格ということもあり迷わずに購入。
いろいろな種類があるニューバランスの中でも「しっくり」くるスニーカーとして気に入っていたので、また履ける喜びを感じています。

私の話しはこの辺にして、そのM998とはいったいどんなスニーカーなのか?この記事で徹底的に紹介していこうと思います。

M998の誕生

New Balance M998


時は1990年初期、NIKE全盛のハイテクスニーカーブームです。AIRMAX1でビジブルエア化に成功したNIKEを追いかけるように、ほかのブランドもハイテクシューズを開発・発売していきます。

そんな中、M998は900シリーズにあたるM997の後継モデルとして1993年に発売されました。ちなみにM997は時代の流れのせいか2年ちょっとでその姿を消しました。デザインはM997の流れを踏襲しつつ90年代真っ只中のハイテク要素が満載。反面、機能的にはM997から大きく変貌と進化を遂げました。

ニューバランス初の

その大きな変貌と進化の部分は、ニューバランスの中でミッドソールにはじめてABZORB(アブゾーブ)を搭載したことです。これはM998を語る上で最初に知っておきたいことと言えますし、ニューバランスを語る上でも外せないヒストリーになります。

ABZORBとは?

ABZORBがはじめて搭載されたと言っても、ABZORBって何か分からなければその凄さはわかりませんよね?そこでABZORBの説明をしておきます。

まずはミッドソールの説明も簡単にしておきます。
ミッドソールは、地面にあたるアウトソールと、足に触れるインソールの間の部分です。

ミッドソール

ミッドソールの主な機能としては靴のクッションになる部分です。硬ければ地面の衝撃を直接受けてしまいますし、ただ柔らかいだけではふわふわとして歩く度にグニャグニャ歩きづらいですよね?
なのである柔らかさや強度、安定感に軽さなども求められるという靴においてはかなり大事な部分になります。

ABZORBというのはミッドソールであり早い話し、高機能なクッショニング素材というわけです。
ミッドソールには主にEVAやPU(ポリウレタン)などの合成素材が使われるのですが、それでだけでは実現できない、反発性や安定性クッション性などを得るために、ABZORBも合成素材を改良し、限りなく100%に近い衝撃吸収性を実現。さらには衝撃を吸収した力をリターンし反発力に変えるという機能も備えられています。

ただそれだけでは先程いった安定感などが足りないのでABZORB(アブゾーブ)と併用してミッドソール全体をC-CAP(シーキャップ)、かかと部分にはENCAP(エンキャップ)構造を利用しています。

ちなみに前モデルであるM997は一体成型のENCAP(エンキャップ)とC-CAP(シーキャップ)を搭載。つまりはM997から三年後に発売されたM998は大きな進化を遂げたモデルであるといえます。

ABZORBはM998登場の翌年発売された「M1600」やその後発売される「M1700」や、900シリーズの後発である「M999」「M990 V2」「M991」「M992」「M993」まで続き進化していきます。
M998はそのABZORB(アブゾーブ)テクノロジーの先駆けとしてエポックな存在であるわけです。

M998のデザイン

New Balance M998アッパーにはブーツで有名なWOLVERINE社製(ウルヴァリン)のピッグスキンスエードを採用。通気性の良いメッシュとの組み合わせはニューバランスの定番。

New Balance M998先程も少し触れたのですが、ニューバランスの中においても一番90年代を彷彿とさせるハイテク要素が色濃いデザイン。プラスチック樹脂やリフレクティブ素材など合成素材が施されているのが特徴的。

New Balance M998シュータンの長さが他のモデルよりもだいぶ長い。これもM998の大きな特徴のひとつ。998と小文字のnew balance。MADE IN  USAの刺繍が施されています。

New Balance M998フォルムは900シリーズらしくSL-1のラスト(木型)で作られているので全体的にホッソリとしているのですが、これはM996などのクラシックデザインとは違ってM997と同様にトゥ部分が長くなってます。革靴でいうところのロングノーズのようなイメージに近いです。M997の方が細いですが、ニューバランスの中でも次くらいにスマートなのがM998。


New Balance M998横から見たフォルムはソール部分が厚く、全体的には前にいくほどに低くなっているスポーツカーのような印象をうけます。
NマークはいわゆるチビNで900シリーズではここまで小さいNマークは初。目立ちすぎずに表情を引き締めている。このNマークはリフレクティブ素材で出来ているので光を反射する機能を持ち合わせている。ランニングシューズならではの安全性の確保もしっかりと。

隠れた細部

New Balance M998履き口のライニングにはナイロンをヘリンボーン編みにした素材が使用されている。これはM1400のインナーと同じ仕様。M997がレザーだったのと比べると若干のスケールダウンは否めないが、足当たりの良さや破れにくさ、すべりづらさなど、履いているとこの素材の良さが分かる。

New Balance M998こちらの90年代らしい合成樹脂素材は足首のブレを防ぎホールド感を高めてくれる。M990V2(二代目)から900シリーズの顔にもなるスウェイバー(後の500・2000シリーズにも採用される)と同じ作用があるのでしょうか。おそらくねじれを防ぐスウェイバー・スタビライザー的な役割。TPUヒールカップ(C.R.)もうそうですが、こういった足を安全に守ることに抜かりがない所にニューバランスらしいこだわりを感じます。

New Balance M998インソール

インソールにはカップインソールが採用されている。裏を見るとこちらにもABZORBが搭載されています。以前持っていたM998のABZORB部分の色はグレーだったような気がするのとMADE IN USAの表記もあったような。変更されたのでしょうか。インソール裏面もしっかりと滑り止めがある。

New Balance M998靴の中を見るとリアフット部分までが袋縫い製法で作られている。こちらの半袋縫い製法は900シリーズに多く採用されている。M1400も袋縫い製法で有名だがつま先まで全てが袋縫いになっているのとはまた違う縫い方。

New Balance M998アウトソールのパターンはM996やM997の一定的なパターンとは違い、複雑なパターンになっている。これは場所によってアウトソールの強度を変えているため。素材はM996と同様にブローンラバーを使用。

M998 ABZORB
この青い部分がABZORB。ただM990 V2(二代目)のようなビジブル化(可視化)ではなく、擬似的なビジブル化。ビジブルエアを成功させたAIR MAX1の影響もあったのでしょうか。

M998の履き心地・サイズ感

New Balance M998

履き心地は言うまでもなく素晴らしいです。履き口の素材もよく、M998は最初からフカフカの柔らかさを実感することはありませんが、履き続けているとABZORBクッション性もよく感じる。靴全体やアーチ部分のサポート感もあり、足が安定もしているので長く履いていて疲れにくいと感じます。
また、内側縦アーチ部分が盛り上がっていて気持ちがよく、外見的なデザインと同じように、履いた感じも前の方が低くなっていて、それが歩く時に足の進みをサポートしてくれている感じがします。

ビルケンシュトックやドクターマーチンの靴もそうですが、履きやすいと評判なのに最初の履き心地が微妙で、履いている内に離れられなくなるという。まさにM998がそのタイプの靴だと思います。

サイズ感としては標準的で、私の場合、M1400だと26cmですが、少し幅広なので、M998は26.5cmでジャスト。M998は細みとはいっても、そこまで細くはないので、幅広や甲高ではなければ、ジャストサイズがちょうどいい。

個人的にですが、M996やM997より履き心地は良いと思います。さすがにM991からの900シリーズと比べてしまうと、新しく発売されているM990V4に軍配が上がるのは仕方ありませんが、M991からの900シリーズとはまた違い、フォールド感がキツくなくマッタリとした履き心地。これはM1400やM576のようなSL-2のゆったり感とはまた違う。ある意味独特な履き心地が魅力といったM998。

M998という靴

New Balance M998

海外製のニューバランスで一足目に何を買ったらいいか?と聞かれたら「M1400」「M991」「M1500」と答えます。
では、二足目に何を買ったらいいか?と聞かれたら「M998」と答える。
なんで一足目じゃないの?おすすめできないの?と思うかもしれませんが、海外製ニューバランスの二足目を欲しい人って、もうニューバランスを好きな人だと思うんです。
つまりは、ニューバランスを好きな人にこそおすすめできる靴。それがM998という靴だと思っています。

プライバシーポリシー

© 2018 Heritage circus. All rights reserved.