ニューバランスのクラシックとして有名なM1300。もはや伝説に近い形で、五年に一度復刻が出されています。通常でもM1300CLという商品を購入することもできるのですが、それはもはや名前だけの別物として存在しています。
そのM1300の後継モデルだったはずのM1400。しかし当時の技術ではM1400が作れずに先にM1500が登場。その後1994年になり、ようやく陽の目をみた。という逸話を持ちあわせているM1400。
M1400のデザイン
M1500ではすでに一体成型ミッドソールやデザインもハイテク化が進み、次の世代の靴を目指していたのですが、M1400はM1300に似ている。
細部にこそ違いはありますが、M1300はもちろん。M996やM576とともに往年のクラシックデザインを引き継いでいます。
M1400はSL-2ラスト(木型)を使用しています。これはM996などに使われるSL-1ラス(木型)トよりもゆったりと出来ています。
そのSL-2ラストの中にあっても他のモデルに比べると少しポッテリ感があります。M576寄りという感じです。これがまた日本人にも合うと言われる所以でしょう。
ライニングにはナイロンをヘリンボーン編みした素材。M998なんかと同じです。靴底も袋縫いに板張りがしてあってまるで革靴のような丁寧な作り込み。
M1400の履き心地
履き心地に関しては、足全体を包み紺でくれて、柔らかくゆとりもあるので、かなり楽だと感じます。C-CAPを使用しているので軽量化もされています。長時間歩くというよりは買物や通勤などに向いていると思います。
私はどうも柔らかいインソールだと疲れてしまうので、RCP130のレブライト仕様に変更。少し固めに感じられますが、長い時間歩く時はこのくらいの方が良いです。
M1400は人気の理由
M1400はクラシックデザインの中でも最後に出たモデルなので、その中でやはり一番だと私は思っています。完成度も履き心地もデザインも全てにおいてのクラシックの完成形がM1400ではないかと。
ただ、こうしてM1400のことを書いてみると、徹底評価というわりに特別に凄いことがない。他のモデルと比べればすごかったりもするのですが、特筆するべきかと言われれば考えてしまう。それじゃ一体M1400の何がすごくて人気があるのか。
ここで茶道で有名な千利休の話しを。ちょっと曖昧な記憶ですがとても感銘を受けたある話しの中に、部屋の中に目立ったものがあることを嫌うという話しがあります。人が部屋に入り、壺(例として他のものでも可)があったからこの部屋はよかったね。と言われると、その壺を部屋から片付けてしまったそうです。
千利休はただの天邪鬼なのかな?と思われるかもしれませんが、そこには理由があったんです。
何が良かったか?と問われて何が良い訳ではないけど良かった。なんていう空間を千利休は目指していたそうなんですね。
これがM1400にも言えることなんじゃないかって思うんです。デザインが新しいわけでもなく機能が新しいわけでもない。スタイリッシュでもない。何が良いのかは分からないけど「良い靴」
もちろん流行りでM1400を履いている人もいると思いますが、M1400を履き続ける人の多くはこの「良い靴」としての認識があるんじゃないかなって思うんです。
もちろん、素材や履き心地・作りの良さが良いのがあるのは前提なのですが、全てが高いレベルにあり、トータルバランスにおいてM1400という一体感のある足の空間を生み出しているのではないでしょうか。
後記
今は履いて5年ほどたちますが、あらためてM1400の良さを認識出来たかなって思っています。アウトソールなんかも結構クタクタになってきています。アッパーやミッドソールはまだまだいけると思うのですが、ライニングも少し傷んできてしまいました。スニーカーの寿命は5年だと言われていますが、リペアなどしてまだまだ履いていきます。
先日JASON MARKK(ジェイソン・マーク)でM1400をクリーニングした記事も書いてます。
JASON MARKK(ジェイソンマーク)でニューバランスM1400・M991の汚れをどれだけ綺麗にできるのか試してみました。 - Heritage circus